フェデラーのアパレルとラケットの話

さあ、3エントリー目。行きますよ~。
今日はATPツアー男子シングルスランキング3位、
フェデラーが身に着けているものの話。

ロジャー・フェデラー
テニスやってたことない人でも大概フェデラーの名前知ってる人、
多いですよね。

超優雅なプレースタイル、
少なくとも男でテニスやってる人は、
フェデラーみたいにプレーしたいとほぼ全員が思うはず。
ストロークもサーブアンドボレーも両方強い、
20年前の概念だとこれがオールラウンドプレイヤー。
今だとシングルスでサーブアンドボレーする人って
本当に少なくなったので、今のシングルスの概念で言うと、
ネットプレーをすごく多く使うシングルスプレイヤーってことになります。

道具の話をしたいんですが、
フェデラーって戦績が異常すぎるのでご紹介。

グランドスラム計17回優勝、
ウィンブルドン7回優勝、US5回優勝、
オーストラリア4回優勝、
ローランギャロスも1回優勝でグランドスラム達成)
ツアーファイナルは6回優勝、
オリンピックでも金メダル獲得、
(金はワウリンカとのダブルスで、シングルスはロンドンで銀メダル)
ATPツアー大会で計82回の優勝。
こんだけ優勝してるんだから世界ランク1位の時期は超長くて、
1位在位は通算302週間、約6年間1位だったのです。
プロ生活を10年続けるのも大変なのに、
プロ生活の半分は世界ランク1位としてやっています。

うーむ、これだけの圧倒的なレコードを持つ選手って他競技を見渡しても、
アレクサンダー・カレリン吉田沙保里白鵬くらいですかね。
ってこれは階級がある話だ。
テニスは階級がありません。
7連覇と言えばランス・アームストロング
完全無欠のオールラウンダーとしてはアレックス・ロドリゲス
前人未到の大記録としてはマーク・マグワイア
サミー・ソーサバリー・ボンズとかですが、
これはお薬の力でってことで、比較になりません。

その上に、去年デビスカップまで頑張って、
スイス代表として優勝、世界一になりました!
もうちょっと言うと毎年1月の男女混合国別対抗戦、
ポップマンカップまで優勝したことがあるので、
国の代表としても好成績を残している、
サッカーで言うとメッシがアルゼンチン代表で大車輪の活躍をして
ワールドカップまで優勝してしまう完璧なキャリアです。

まあ、やってることのすごさとしは、マイケル・ジョーダンクラス
ってことですかね。
実績とスタイルの神々しさが近いです。

本題と全然違う話で長話しました。
とにかく、それだけフェデラーはすごい選手であると言いたかったんです。

やっと今回のエントリの本題。
フェデラーがテニスやるときに身に着けるもの。

ナイキとウィルソン。
以上です。

フェデラーは一貫してアパレルとシューズはナイキ
ラケットはウィルソンです。

この組み合わせ、
ジュニア時代のフェデラーサンプラスのプレースタイルに憧れて、
サンプラスと同じナイキとウィルソンを使うことを望んだと言われています。
サンプラスもトップ選手になってからは一貫してナイキとウィルソンでした。

フェデラー、片手バックハンドであること、
サーブアンドボレーを多用するスタイルの割にはフォアも強いこと、
後ろ足を動かさないサービスモーションっていう
確かにサンプラスにかなり影響されたプレースタイルであったことは
間違いありません。

さらに、ラケットなんですが、
2000年を過ぎても
「そんな古いモデルのラケット、サンプラスしか使ってないよ、
そのラケットで世界で戦えるのはサンプラスくらいだ」
とか言われていたプロスタッフ6.0MIDを使っていました。

それだけサンプラスに影響されていたってことです。
そうじゃなきゃ、あんなラケット使わない。
絶対コーチが止める。

んで2001年にウィンブルドン4回戦でサンプラスと直接対決して、
当時ウィンブルドン4連覇中の芝の王者に勝っちゃったんですよね。
同じラケットで勝つんだから見てる方もぶったまげました。

ありゃ、ラケットが先になっちゃった。
できるだけ多くの人に読んでもらえるように、
アパレルから先にすることにしてたんですが。

フェデラーのアパレルの特徴。
長年ナイキ着用のトップ選手で、
ナダルと2大巨頭なんですが、
ナダルがノースリーブやら七分丈パンツやら前衛的なものを
着るのとは対照的に、
基本襟ありのいわゆるポロシャツスタイル、
パンツも短めっていうクラシカルスタイルでした。
そうやって選手に合わせてアパレルを用意するところは
同じ試合は全選手に同じアパレルを提供するアディダスと違うところです。

そんなこんなで世界ナンバーワンの座を長く続けてきて、
2005年くらいからか、
ナイキに頼んで自分でデザインしたと言われるRFロゴが入った
アパレルを着るようになりました。
それまでよりかなりシルエットがスリムになって、
デザインは基本単色系。
蛍光系の黄色とか派手なデザインのナダルとはとにかく対照的。

2008年のUSオープンでは、USオープンはナイトセッションが名物だからと、
頭から足先まですべて黒のアパレルで試合していました。
シャツからシューズ、さらにソックスまで黒の徹底ぶり。
テニスで全身黒は意外と誰もやったことがないコーディネートで
これまたぶったまげましたが、
全身黒のフェデラー、似合ってました。
ポイントは、ソックスもちゃんと黒にすることです。
テニスってソックスは白の文化があって、
黒は使わないんですが、ここを黒にしないと
一気にカッコよさが減ります。

そんなこんなでずっとナイキで今に至ります。

シューズですが、
使ってる歴代のものを見てみると、
いわゆるズームエアの系譜をたどるラインナップを履いています。
ナイキの競技用シューズはヒール部分に
皆さんご存知の「エア」が搭載されていて、
構造上、ソールが厚くなるんです。
特にテニスシューズとしては、底厚になってしまうんです。
それを解消するために1995年くらいからナイキが開発した「ズームエア」、
エアを搭載するけど底厚にならなくて、
それでいてクッションと剛性もあるというものを
フェデラーはずっと履いています。

ソールが薄いシューズを履くのも、
フェデラーサンプラスは一緒なのです。
確かに、あのプレースタイルだとクッション性より
足の裏の感覚を大事にしたいっていうのは
何かわかる気がします。

ラケットですが、
プロデビューから2013年まで、
ツアープロとしては一番面が小さくて
厚さも薄いラケットを使っていました。
2003年からさすがに85インチはやめて
90インチになったんですけど、
それでも天然記念物ものです。
17ミリ厚は2013年まで変わらなくて、
ラケットの性能としてはボールスピードは捨てて、
てのひらの感覚をとにかく大事にする、
とにかく飛ばすラケット全盛の今の時流とは
正反対のラケットだったんです。

テニスやってる人間じゃないと分かりづらいんですが、
ちょっともう、それだとパワー不足で厳しいんじゃないですかって
見てるほうからも感じられるようになって、
2010年を過ぎたら、1位を譲るほうが多くなって
ランキングも2桁になるんじゃないかって言うところまで来ました。

で、ついに、2014年からラケットの大チェンジをしています。
面積98インチで22ミリ厚。
ストリングパターンは前と同じく縦16。
狙いはとにかくボールスピードを上げること、それしかない。
フェース面積を8インチあげて、5ミリも厚くしたら、
本人の感覚からすると、
超ぶっ飛びで抑えが効かない感覚だったと思います。
長年同じ形のラケットしか使ってなかった人には、
感覚的に本当にきつかったと思います。

でも、2014年からのフェデラー、また強くなりました。
ラケットチェンジして、全部のプレーに力強さが出てきました。
さらに、サーブアンドボレーを増やしてきて、
それが成功しているんです。
22ミリ厚のラケットって、普通の厚さなんですが、
一貫して17ミリ厚を使っていたフェデラーが持つとなんか違和感です。
でも、試合に勝つようになると、
それがまたかっこいいなとか思っちゃうんですけど、
それは私みたいなラケットマニアだけですね。

今のプレースタイルを作り上げたコーチが、
サンプラスフェデラーの邂逅を生んだラケット、
プロスタッフ6.0MIDの使い手、エドバーグだっていうのが
またすげえなとか思ってしまうんですけど、
これもまたラケットマニアのたわごとです。

長くなったな。

フェデラーが使っているストリングですが、
今は縦ウィルソンナチュラルで、横はルキシロンのアルパワーラフです。
ルキシロンはウィルソン参加のメーカーなので、
やはりフェデラーのギアはナイキとウィルソンだけで構成されています。
ルキシロンがウィルソンに買収される前は
ウィルソンのポリストリングを使っていたとか聞きますがどうなんでしょうね。
どうでもいいか。

ストリングで特徴的なところは、
縦ナチュラルの横ポリを10年以上前からやってる選手です。
10年前だとまだハイブリッドは縦ポリ横ナチュラルばっかりだった中で
そういうチョイスだったんですよね。
誰がこういうセッティングを思いついたんだろうな。

超長くなりました。
ここまで読んでくださいました方が
いらっしゃるかどうか怪しいんですが、
とにかくとにかくありがとうございました。

次回はたぶんナダルの話。

では。